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羽仁未紗 VIVA OPERA 5

 

TURANDOT  

トゥーランドット この2、3年『トゥーランドット』がブームだというが、このオペラがそれほどの観客を集めているわけではなく、フィギュアスケートの荒井静香がこのオペラの曲のひとつ『Messun Dorma(誰も寝てはならぬ)』でトリノオリンピックの金メダルを獲り、それ以来スケートのテーマ曲のようにもてはやされているに過ぎないようだ。
トゥーランドット ジャコモ・プッチーニは生涯数多くのオペラを発表したが、中でも『蝶々夫人』『西部の娘』そしてこの『トゥーランドット』の3作は、“外国もの”“エキゾティシズムもの”として別扱いされている。『蝶々夫人』はいうまでもなく日清戦争時代の日本、長崎を舞台にしており、『西部の娘』は題名通り開拓時代の西部におけるラブストーリー。トゥーランドットそして『トゥーランドット』は古代中国、いまの北京での、いわば荒唐無稽なお話だ。プッチーニは日本に来たことはないし、アメリカに旅してはいるが、西部劇の世界は知らない。まして古代中国など知る由もなかった。トゥーランドットだからこうした作品群が単に大衆の異国趣味に迎合したヒット狙いの作品として、高い評価を得られることはなかった。トゥーランドット

だが、そんな評価はプッチーニのすべての作品についてもいえることで、彼が常に大衆の好み傾向を優先的に考え、必ずヒットする作品を作り続けてきたことの証明でもある。トゥーランドットトゥーランドットモーツアルトのような天才でもなく、ヴェルディのように民族、国家を歌い上げる高邁な気持ちもない。ワグナーのような芸術最優先でもない。あくまでもヒットメーカーであり、エンタテイナー。それはそれで素晴らしいことではなかろうか。トゥーランドット
 古代中国の美しくも冷酷なトゥーランドット姫に旅の王子カラフが、処刑覚悟で危険な謎かけ合戦に挑み、最後には姫の愛を勝ち取るという他愛もない物語だが、暗い深夜の北京と、続く華やかな王宮との対比、姫のあまりにも華美、絢爛豪華な装い、思いを寄せるカラフのために我が身を犠牲にしても王子の秘密を守る奴隷女リューの献身といった見せ場も充分に用意されている。トゥーランドット
トゥーランドット このリューこそ若きソプラノ歌手にとっての登竜門、もうけ役であり、ここから大スターに巣立っていくソプラノは多い。20年余り前、パリのオペラ座で観た黒人女性のリュウが最後のアリアを歌い、あまりの拍手喝采の多さに驚き、舞台上で茫然自失、さらに泣き崩れた姿はオペラ以上に感動的であった。大衆はこうした感動を望んでおり、またそれに見事にこたえたプッチーニだったといえるのではないか。

トゥーランドット

トゥーランドット

 

 

 

 

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