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羽仁未紗のVIVA OPERA  Ⅱ-7

Travatore

Travatore  

Travatore15世紀のスペイン、アラゴン地方の貴族ルーナ伯爵の城の庭で、衛兵、従僕たちが話しこんでいる。話とは、先代の伯爵にはふたりの息子がいたが、捕えた怪しいジプシーの老女を火あぶりにしたときに、幼い弟のほうが消えていて、老女の処刑あとから子供の焼死体が見つかったというおどろおどろしいものだった。

Travatoreそこに女官のレオノーラが現れて、毎晩やってきて見事な歌声を聴かせてくれる吟遊詩人(トラヴァトーレ)への愛を歌うが、レオノーラを愛しているルーナ伯爵、そして当のトラヴァトーレ、マンリーコも登場して、男ふたりの決闘となる。

Travatore舞台は変わって山奥のジプシー小屋。マンリーコの育ての親、ジプシーの老女アズチューナが昔ばなしをする。かつて自分の母親が火あぶりにされたのち、その仕返しのために伯爵の息子をさらい、火に中に投げ込んだのだが、気づいてみると投げ込んだのは自分の息子だったというのだ。

Travatoreさらに、ルーナ伯爵がレオノーラを誘拐しようとするが、レオノーラは逆にマンリーコに連れ去られてしまう。だが、代わりにアズチューナがルーナ伯爵に捕えられ、マンリーコは母を救いに立ちあがる。

こうしていくつかの戦いが続き、最後にはルーナ伯爵がマンリーコを断頭台に送って決着はついたかに見えた。しかしそのときアズチューナが、いま処刑されたのはお前のほんとうの弟だ、と告げ、母さん、復讐は果たしました、と叫んで息絶える。

Travatore自分の子供を火に投げ込んでしまったり、仇の子を大事に育てながら、その子が処刑されると、復讐がなったと喜んだり、まさに荒唐無稽。

なにかといえば剣を抜いて斬り合い、怪しげなジプシーがえんえんと呪いの歌を歌い、ヴェルディがスペインという国をよほどの未開の地と見ているのか、疑いたくなる話だが、全体に夜のシーンが多く、暗い中でのオペラなので、そうした怪しげなご都合主義にも妙なリアリティを感じてしまったりする。

Travatoreしかしさすがヴェルディ。素晴らしいアリアには多く出会うことができる。

レオノーラの最初のアリア「穏やかな夜ね」は見事なベルカント・スタイル。ルーナ伯爵の「君のほほえみ」はバリトンの名曲として有名だ。そして第4幕の初めにレオノーラの歌う「恋はばら色の翼に乗せて」は、あいだに僧侶たちのコーラスが入り、さらに伯爵との二重唱も中にはいって、おしまいにレオノーラに戻るという、難しくドラマティックなアリア。

話がめちゃめちゃすぎるし、舞台も暗いので日本ではさほどの人気はないが、多くのハリウッド映画にも取り入れられており、評価の彼我の差は大きいのかもしれない。

Travatore

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